A編(P.47〜P.56)


 法人税

株式会社が獲得した利益に基づいて課税される税金として【法人税】【住民税】【事業税】があり、これらは総称して【法人税等】とよばれる。



 法人税等の会計処理

法人税等は、一定期間内に企業が獲得した利益などに基づいて計算される。


 中間申告納付時
(仮払法人税等)××× (当座預金)×××

 決算時
(法人税等)××× (仮払法人税等)×××
         (未払法人税等)×××

 確定申告納付時
(未払法人税等)××× (当座預金)×××



 社債

社債とは、株式会社が長期資金を調達するために、一般大衆から一定の条件をもとに借入れを行う際に発行する債券である。

1:株式の発行ではないため、資本金は増加しない!

2:満期日のお金を返済する義務がある!

3:利払日に利息の支払いをする!



 社債の割引発行

1:社債の発行形態

【割引発行】…額面金額を下回って発行する。
【平価発行】…額面金額で発行。

打歩発行…額面を上回って発行(ほとんどない)

割引発行による額面金額(債務額)と発行価額(収入額)との差額は、一般に発効日から満期日までの利息と考える。


2:社債発行時の会計処理

発行価額(収入額)をもって【社債勘定】(負債)の貸方に記帳する。

(当座預金)××× (社債)×××


3:社債を発行するために直接必要とされる支出額

原則として支出時の費用として処理するが、償還までの期間の費用として処理することもできる。
この場合は、支出額を繰延資産として【社債発行費等勘定】(資産)の借方に記帳する。

(社債発行費等)××× (当座預金)×××



 社債利息の支払い

毎年一定の契約期日に【額面金額に契約利率を乗じた利息】が支払われるが、これを【社債利息】という。

(社債利息)××× (当座預金)×××



 社債の決算処理

1:社債の会計処理

発行した社債は、額面金額(債務額)をもって貸借対照表に記載する。
ただし、額面金額(債務額)より低い価額で発行した場合に、発行価額(収入額)と額面金額(債務額)とが異なる場合には、その差額を償還期に至るまで毎期一定の方法(償却原価法)で社債に加算した額をもって貸借対照表に記載する。

社債勘定】の貸方に記帳するとともに【社債利息勘定】の借方に記帳する。

(社債利息)××× (社債)×××


2:社債発行費等の会計処理

社債発行費等は、社債の償還までの期間にわたり定額法などにより償却を行う。

(社債発行費等償却)××× (社債発行費等)×××


3:未払社債利息の会計処理

利払日と決算日とが同一日である場合、決算日において支払額を社債利息勘定に計上すれば当期分の社債利息は正しく計上される。
しかし利払日が決算日と異なる場合には、前回の利払日の翌日から決算日までの期間に対応する社債利息は、当期分の利息であるから、決算日に見越し計上しなければならない。
社債利息勘定の借方に記帳するとともに【未払社債利息勘定】(負債)の貸方に記帳する。

(社債利息)××× (未払社債利息)×××



 社債の満期償却

社債の【満期償却】とは、当初定めた借入期間が終了した時点で額面金額(債務額)を返済することをいう。
なお、満期日において当期首から償還期における償却原価法に基づく利息額を計算して記帳を行う場合には、社債利息勘定と額面金額(債務額)は一致するため、額面金額を社債勘定から減額する。
また、社債の額面金額と最終回の利払日に支払われる社債利息額を合計した金額が支払われる。


 満期日

1:償却原価法の仕訳
(社債利息)××× (社債)×××

2:社債の償却と利払いの仕訳
(社  債)××× (当座預金)×××
(社債利息)×××

A編(P.38〜P.55、P.5)


 経費

経費とは、製品の製造のために発生する材料費および労務費以外の製造原価をいう。



 経費の分類

1:直接経費
直接経費とは、特定の製品に対して直接に認識・計算される経費

外注加工賃…材料を下請業者などに提供して加工させた場合に支払う加工賃

特許権使用料…他人の特許を使用して製品を製造した場合に支払う使用料


2:間接経費
間接経費とは、特定の製品に対して直接に認識・計算されなかった経費

減価償却費、賃借料、保険料、修繕費、電力料、ガス代、水道料、租税公課(固定資産税など)、旅費交通費、通信費、保管料、【棚卸減耗費】(間接材料ではない)、事務用消耗品費、雑費など



 製造間接費の実際発生額

製造間接費とは、特定の製品に対して直接に認識・計算されなかった原価をいい、【間接材料費】【間接労務費】【間接経費】から構成される。



 製造間接費の実際配賦

製造間接費とは、特定の製品に対して直接に認識・計算されなかった製造原価であるため、一定の方法で各製品(各製造指図書)ごとに配賦しなければならない。

【素価基準】…【直接材料費と直接労務費の合計額の割合】



 製造間接費の実際配賦率

【実際配賦率=−原価計算期間の製造間接費実際発生額/−原価計算期間の実際操業度(実際生産量など)】


 製造間接費の実際配賦額

製造指図書別の【実際操業度】に【実際配賦率】を乗じて計算する。

(仕掛品)××× (製造間接費)××× ←【実際配賦額=製造指図書別の実際操業度×実際配賦率】



 製造間接費の予定配賦

配賦率については、実際配賦率にかえて【予定配賦率】を採用する予定配賦を行うべきである。

理由→【計算の迅速化】【製品の単位原価の変動性を排除】


 製造間接費の予定配賦率

製造間接費の予定配賦率は、一定期間の製造間接費予算額を、一定期間の基準操業度で除して求められる。

【予定配賦率=一定期間の製造間接費予算額(予算発生額)/一定期間の基準操業度(予算生産量など)】


 製造間接費の予定配賦額

製造指図書別の実際操業度に予定配賦率を乗じて計算する。

(仕掛品)××× (製造間接費)××× ←【予定配賦額=製造指図書別の実際操業度×予定配賦率】


 製造間接費差異(製造間接費配賦差異)の計算

製造間接費差異の予定配賦額と実際配賦額が異なれば原価差異が発生する。
この原価差異を【製造間接費差異】といい、借方差異または貸方差異を明示しなければならない。
なお、製造間接費差異は毎月末に【翌月へ繰越される】

【製造間接費差異=製造間接費差異予定配賦額−製造間接費実際発生額】



 製造間接費予算

通常は【公式法変動予算】を採用する。

1:公式法変動予算

公式法変動予算とは、製造間接費を【固定費】と【変動費】に分け、固定費は操業度の増減に対して一定とし、変動費は操業度の増減に応じて変動比率をあらかじめ測定し、一定の公式を用いて予算を算定する方法をいう。


2:基準操業度の選択

 実際的生産能力←【フル操業・フル生産】

実際的能力とは、実現可能な年間の最大操業水準をいう。


 期待実際操業度

期待実際操業度とは、次の1年間に予想される操業水準をいう。



 製造間接費差異の原因別分析

製造間接費の予定配賦額と実際発生額を比較して把握された製造間接費差異は、さらに【予算差異】と【操業度差異】に分析される。

【製造間接費差異=予算差異+操業度差異】


予算差異…製造間接費の【発生額の良否】を測定するための差異

操業度差異…【生産設備の利用状況の良否】を測定するための差異


【予算差異=※実際操業度の予算額−製造間接費実際発生額】

※実際操業度×変動率+固定費予算額

【操業度差異=(実際操業度−基準操業度)×※固定費率】

※固定費予算額/基準操業度



 単純個別原価計算

単純個別原価計算とは、原価計算の簡略化のため、正式の原価計算手続である費目別計算、部門別計算、製品別計算のうち、部門別計算の計算段階を省略した個別原価計算をいう。

個別原価計算における製造原価は、製造直接費および製造間接費に分類し、製造直接費は賦課、製造間接費は配賦され、製造指図書別に集計される。



 操業度との関連における分類

変動費】…操業度の増減に応じて【比例的に】発生する原価要素

【固定費】…操業度の増減にかかわらず、【一定額発生】する原価要素

変動費…ケータイの料金のようなもの(基本料+使用料)

準固定費…電車やバスの運賃のようなもの(段階的に料金が上がる)

A編(P.32〜P.46)


 株式会社

株式会社とは、【株式】を発行して資金を調達し、これを元手として企業体を運営する組織をいう。



 株式会社の機関

株主総会…株主の総意により会社の基本的な意思を決定する機関
取締役…会社を代表し、かつ会社の業務を執行する機関
取締役会…会社の業務に関する意思を決定する機関



 株式会社の資本金

株主は出資義務を負うのみで会社の債権者に対しては何ら責任を負わないことになっている(株主の有限責任)。



 株式の発行

1:会社設立時

株式の発行時には原則として、払込みまたは給付された財産の額をもって資本金勘定の貸方に記帳する。
ただし、払込みまたは給付に係る額の1/2を超えない額は、資本金として処理しないことができる。
資本金としない額は、【株式払込剰余金勘定】(純資産)の貸方に記帳する。
なお、株式払込剰余金勘定のかわりに資本準備金勘定を用いる場合もある。


なお、株式を発行するために直接必要とされる支出として、募集のための広告宣伝費、金融機関の取扱手数料などがあり、原則として支出時に費用として処理する。
ただし、これらの支出の効果(調達した資金の採用により収益を得ること)は、当期だけとは限らない場合があるため、一時の費用とはせず、数時間の費用として処理することができる。

毎期決算に【創立費償却勘定】(費用)の借方に記帳し、創立費勘定から減額する。



 新株発行の流れ

通常、新株発行による増資を行う際には、まず株式の申し込みを受け、次いで株式の割当が行われる。
新株引受けの申込みに際して払込金等を受けたときは、【株式申込証拠金勘定】(純資産)の貸方に記帳する。



 獲得利益の会計処理

獲得利益は、【繰越利益剰余金勘定】(純資産)の貸方に記帳する。



 剰余金の配当等

1:準備金の積立て
準備金とは、会社法が強制的に剰余金の一部を社内に残すことを要求したものである。
資本準備金】と【利益準備金】があり、会社法では、剰余金の配当をする場合には、配当により減少する剰余金の額に1/10を乗じた額を資本準備金または利益準備金として計上しなければならない。

なお、剰余金の配当をする場合における準備金の積立額は、資本金の1/4の金額(基準資本金額)まで積立てが要求されている。


2:任意積立金
任意積立金とは、その使用目的をあらわした【新築積立金】などや特に使用目的をあらわさない【別途積立金】がある。



 剰余金の配当等の会計処理

(繰越利益剰余金)××× (未払配当金)×××
            (利益準備金)×××
            (○○積立金)××× ←引当金のようなもの



 企業統合

企業統合とは、ある企業(またはある企業を構成する事業)と他の企業(または他の企業を構成する事業)とが一つの報告単位に統合されることをいう。



 事業譲受←相手の全ての事業または一部の事業を買収!

事業譲受とは、譲受企業(取得企業)が譲渡企業(被取得企業)を構成する事業の全て(または事業の一部)を有償で譲受けることをいう。


 譲受企業の会計処理(パーチェス法)

(諸資産)××× (諸負債)×××
(のれん)××× (当座預金)×××

のれんは、取得後、20年以内に規則的に償却する。



 合併

合併とは、法律上別個の会社であったものが1つの会社に統合されること。

消滅会社の株主に対して一般的に株主を発行し、消滅会社の株主は新たに存続会社の株主となる。


 存続会社の会計処理

1:パーチェス法←買ってくる(時価)←【勘定ではなく文章に書いてある金額を書く】
資本金として処理しない金額は、【合併差益勘定】(純資産)の貸方に記帳する。
なお、合併差益勘定のかわりに資本金準備勘定またはその他資本剰余金勘定を用いる場合もある。


2:持分プーリング法←くっついた!(帳簿価額)←【文章の金額を無視して勘定通りに書く】
すべての資産、負債および純資産を適切な帳簿価額で引継ぐ。

A編(P.23〜P.36)


 予定消費価格

消費価格については、実際消費価格にかえて【予定消費価格】を採用することも認められている。

予定消費価格を採用することによって、【計算の迅速化】【製品価格の変動性を排除】することができる。



 材料費価格差異の計算

実際消費価格と予定消費価格が異なれば原価差異が発生する。
この原価差異を【材料消費価格差異】といい、【借方差異】または【貸方差異】を明示しなければならない。

【材料消費価格=実際消費量×予定消費価格−実際消費量×実際消費価格】
→予定<実際→借方差異
→予定>実際→貸方差異



 材料消費価格差異の月末の処理

予定消費価格は、将来の一定期間(通常は一会計期間)の消費価格を予想して計算されるため、その一定期間終了後に差異の調整が行われる。
したがって、材料消費価格差異は毎月末に【翌月へ繰越される】。

【棚卸減耗は実際消費価格で計算する】



 直接労務

直接労務費とは、特定の製品に対して【直接に認識・計算される】労務費をいい、【直接工の直接作業に対する賃金】がある。


 間接労務

間接労務費とは、特定の製品に対して【直接に認識・計算されなかった】労務費をいい、【直接工の直接作業以外に対する賃金】、【間接工の賃金】、工員以外の給料や雑給、従業員賞与・手当、退職給付費用、法定福利費などがある。

【預り金は労務費ではない】



 賃金給料の支払額の計算と記帳

賃金給料の支払額を計算するための期間を【給与計算期間】という。

【支給総額=支払賃金+諸手当】


 原価計算期間の要支払額

原価計算期間と給与計算期間が一致しない場合は、給与計算期間の支給総額に【未払賃金給料】(前月末未払額と当月末未払額)を考慮して原価計算期間の要支払額を計算する。

原価計算期間=給与計算期間の支給総額−前月末未払額+当月末未払額】



 直接工の消費手続

主に製品の加工作業を行う直接工の労務費(消費賃金)は、【その作業時間に対して計算される】ところに特徴がある。

なお間接工は、主に製品に対して共通的な作業や補助的な作業を行う。
したがって、その消費額はすべて間接労務費となり、【通常は作業時間の把握を必要とせず】、総額を性格に把握できる計算方法をとればよい。
また、事務職員などについても間接工と同様である。

【直接工の労務費=実際作業時間×消費賃率】



 実際作業時間の把握

直接作業時間…製品の【段取時間】と【加工時間】の合計時間であり、直接作業時間に基づいて計算された労務費は【直接労務費】となる。

間接作業時間・手待時間…{間接労務費】となる。



 間接工および事務職員などの労務費の計算と記帳

間接工および事務職員などの労務費は、原価計算期間の要支払額の【すべてが間接労務費】となる。

【間接工および事務職員などの労務費=給与計算期間の支給総額−前月末未払額+当月末未払額】



 予定消費賃率による直接工の労務費の計算

消費賃率については、実際消費賃率にかえて【予定消費賃率】を採用することも認められている。


 賃率差異の計算

実際消費賃率と予定消費賃率が異なれば原価差異が発生する。
この原価差異を【賃率差異】といい、借方差異または貸方差異を明示しなければならない。
なお賃率差異は、毎月末に【翌月へ繰越される】

【賃率差異=実際作業時間×予定消費賃率−原価計算期間の要支払額】
→予定<実際→借方差異
→予定>実際→貸方差異

B編(P.50〜P.55、P.106〜P.110)


 銀行勘定調整表

銀行勘定調整表とは、企業の当座預金勘定残高と銀行が発行する【残高証明書】の残高とが一致していない場合に、その不一致の原因を明らかにするために作成する表である。



 不一致の原因

1:時間外預入れ 【銀+】

銀行の営業時間外に現金を預入れた場合。


2:銀行側から企業への入出金通知の未達 【企±】

2-1:入金通知の未達 【企+】
  (当座預金)××× (○○○)×××


2-2:出金通知の未達 【企−】
  (○○○)××× (当座預金)×××


3:未取付小切手 【銀−】

小切手を振出したが、受取人が銀行に呈示していない場合。


4:未渡小切手 【企+】

小切手を振出したが、まだその小切手を仕入先などに渡していない場合。

小切手が買掛金の場合。
 (当座預金)××× (買掛金)×××

買掛金以外の場合は、未払金勘定を使う。
 (当座預金)××× (未払金)×××



 固定資産の売却・買換え

1:固定資産の売却

固定資産を売却した場合には、当期首から売却時点までの減価償却費を計算し、そのうえで当該固定資産の【帳簿価額と売却価額との差額】を、固定資産売却益勘定(収益)の貸方または固定資産売却損勘定(費用)の借方に記帳する。


2:固定資産の買換え

固定資産の買換えとは、今まで使用していた固定資産を下取り(売却)に出し、新たに固定資産を購入することをいう。



 固定資産の廃棄・除却

1:固定資産の廃棄

固定資産を廃棄した場合には、当期首から廃棄時点までの減価償却費を計算し、そのうえで当該固定資産の【未償却残高】を固定資産廃棄損勘定(費用)の借方に記帳する。


2:固定資産の除却←【解体】(少し使えるものが残る)

固定資産を除却した場合には、当期首から除却時点までの減価償却費を計算し、そのうえで当該固定資産の【帳簿価額と処分可能価額の差額】を固定資産廃棄損勘定(費用)の借方に記帳する。

なお、処分可能価額は、【貯蔵品勘定】(資産)の借方に記帳する。

A編(P.16〜P.20)


 有形固定資産

有形固定資産とは、企業がその営業目的を達成するために長期にわたって所有している有形の資産であり、かつ、その加工もしくは売却を予定しない財貨をいう。

有形固定資産は、その価値の減少額を費用として計上しなければならない。
この費用化の手続を減価償却といい、この減少額は減価償却費勘定(費用)で記帳する。



 減価償却費の記帳方法

1:定額法

減価償却費は毎期一定の金額となる。

減価償却費=(取得原価−残存価額)/耐用年数】


2:定率法

未償却残高は毎期減少していくため、減価償却費も毎期減少することになる。

減価償却費=(取得原価−減価償却累計額)×償却率】


3:生産高比例法←【月割計算しない!】

生産高比例法とは、取得原価から残存価額を控除した金額(減価償却総額)を、生産高または利用度に応じて各年度に分配する方法をいう。

この方法は、当該固定資産の総利用可能量が物量的に確定でき、かつ、減価が主として固定資産の利用に比例して発生するものには、合理的な減価償却費を計算することができる。

減価償却費=(取得減価−残存価額)×当期利用量/総利用可能量】



 建設仮勘定

有形固定資産の建設を依頼し、手付金などを支払った場合には、【建設仮勘定】(費用)の借方に記帳しておき、引渡しを受けた時点で、有形固定資産の勘定に振替える。



 無形固定資産

無形固定資産とは、有形物としての実体をもたないが、法律や契約によって独占的な優位性が与えられることにより、長期的な企業の収益獲得に役立つ資産をいう。

特許権】【実用新案権】【商標権】【鉱業権】【借地権】【のれん】など



 償却方法

無形固定資産も有形固定資産と同様に、減価償却を行わなければならない。

残存価額はゼロ、定額法、直接法
また、鉱業権は生産高比例法を用いることが多い。

A編(P.2〜P.22)


 工業簿記

工業簿記とは、工企業(製造業など)に適用される簿記をいう。
製品を製造し、さらにそれを販売して利益を獲得することを目的とした企業である。



 原価計算
工企業の製品の減価は、自ら計算しなければならず、容易に知ることは出来ない。



 原価

原価は、【製造原価】を意味する場合と、製造原価に【販売費】および【一般管理費】を加えた総原価を意味する場合がある。


 総原価

【製造原価】…(工場)
【販売費】…(CM、営業マン、営業所etc)
一般管理費】…(本社)

上記以外の費用を【非原価項目】という。



 製造原価の分類

1:形態別分類

【材料費】…物品の消費高
労務費】(人件費)…労働力の消費高

【経費】…物品や労働力以外


2:製品との関連における分類

製造原価は、特定の製品に対して直接認識されるか否かにより、【製造直接費】と【製造間接費】に分類される。

【製造直接費】…特定の製品に対して直接に認識・計算される製造原価
        直接材料費、直接労務費、直接経費

【製造間接費】…特定の製品に対して直接に認識・計算されなかった製造原価
        間接材料費、間接労務費、間接経費



 原価計算の手続

【費目別計算】…一定期間における原価要素を項目別に分類測定する手続
【部門別計算】(場所)…費目別計算において把握された原価要素を部門別に分類測定する手続
【製品別計算】…原価要素を一定の製品単位に集計し、製品の単位原価を計算する手続



 製品別計算の方法

1:個別原価計算

個別原価計算は、顧客の注文に応じて特定の製品を製造する個別受注生産形態に適用される原価計算


2:総合原価計算

総合原価計算は、同じ規格の製品を大量に製造する大量見込生産形態に適用される原価計算



 原価計算期間

原価計算を行うためには、この会計期間とは別に【原価計算期間】(通常暦の1ヶ月)を設ける必要がある。



 個別原価計算の記帳体系

【材料勘定】(資産)
【賃金給料勘定】(費用)
【経費勘定】(費用)
【製造間接費勘定】(費用)
【仕掛品勘定】(資産)
【製品勘定】(資産)
【売上原価勘定】(費用)


工業簿記では、製品を販売した際、売上高に関する仕訳とその売上原価に関する仕訳を同時に行う。←【両建法】

(売  掛  金)××× (売 上)×××
(売 上 原 価)××× (製 品)×××


完成した製品を即時に顧客に引渡す場合には、製品勘定を設けず、仕掛品勘定を用いる。

(売  掛  金)××× (売 上)×××
(売 上 原 価)××× (仕掛品)×××



 工業簿記の決算

1:月次決算

(月次損益)××× (売上 原価)×××
         (販 売 費)×××
         (一般管理費)×××
(売  上)××× (月次 損益)×××

(月次損益)××× (年次損益)××× ←営業利益



 材料と材料費

材料とは、製品の製造のために消費される物品をいう。
【庫出された時点をもって消費とみなす】



 材料費の分類

1:直接材料費

【素材費】(原料費)…木材、原油など
【買入部品費】…タイヤなど


2:間接材料費

【燃料費】…重油、コークスなど
【工場消耗品費】…機械油、屑布、軍手、作業服、ロープ、電球、石鹸、掃除用具など
【消耗工具器具備品費】…ドライバーなどの工具、各種器具、机、椅子、戸棚、黒板、自転車などの備品

なお、直接材料費および間接材料費は、その目的に応じて【主要材料費】(直接材料費)、【補助材料費】および【工場消耗品費】など(間接材料費)に分類する場合もある。



 材料の購入原価の計算と記帳

材料の購入原価は、【購入代価】(購入した材料そのものの金額)に引取運賃などの【付随費用】を含めて計算する。

【購入原価=購入代価+付随費用】


<参考>
 材料副費

付随費用【(材料副費)】には、材料が仕入先から納入されるまでにかかる買入手数料や引取運賃などの【外部材料副費】のほかに、材料の発注手続、倉庫への搬入・保管、作業現場に庫出されるまでにかかる購入事務費、検収費や保管費などの【内部材料副費】も含まれる。


また、重要性の乏しい工場消耗品などは購入額を消費額とみなし、購入と堂おじに消費の処理を行う場合がある。



 材料費の計算と記帳

材料費は、【直接材料費】と【間接材料費】に分類され、実際消費量に消費価格(払出単価)を乗じて計算する。

【材料費=実際消費量×消費価格】


1:実際消費量の計算

1-1:継続記録法

継続記録法とは、材料の購入、出庫のつど、材料元帳にその数量を継続的に記録し、常に帳簿棚卸量を明らかにする方法。
【庫出票に記入された消費量が実際消費量】

なお、庫出票に製造指図書番号が記載されているかどうかによって、【直接材料費と間接材料費に区別】することができる。←棚卸減耗を把握することができる。


1-2:棚卸計算

棚卸計算とは、材料の受入量のみを材料元帳に記録し、月末の実地棚卸によって実際消費量を計算する方法。
【実際消費量=月初棚卸量+当期購入量−月末実地棚卸量】

また、この方法では、実際消費量は推定で計算されるため、【すべて間接材料費】となる。



2:実際消費価格の計算

2-1:【先入先出法】…先に購入した材料を、先に払出したものと仮定して計算する。

2-2:【平均法】…材料の平均単価を計算する方法。
  【総平均法】…”一定期間”の材料の平均単価を計算する。



 材料の棚卸減耗の計算と記帳

棚卸減耗とは、材料の保管中になんらかの原因によって数量が減少することをいい、その損失を棚卸減耗費という。

また、棚卸減耗が材料の【保管中に不可避的に発生】した場合は、製造間接費として処理する。

なお、月末実地棚卸高は材料勘定の【次月繰越】の金額となる。