B編(P.76〜P.88)


 未着品売買←【未着品=貨物代表証券】

【未着品】とは、遠隔地の仕入先から商品を仕入れるとき、現品到着前に商品の引渡請求権をあらわす【貨物代表証券】(船荷証券または貨物引換証)を受取った場合の運送途中にある商品をいう。



 未着品売買の会計処理

1:未着品(貨物代表証券)の購入時
 (未着品)××× (買掛金)×××


2:貨物代表証券と引換えによる商品受取時
 (仕入)××× (未着品)×××
        (現 金)×××


3:未着品の販売時
 (売掛金)××× (未着品売上)×××
 (仕 入)××× (未 着 品)×××


4:決算時(決算整理仕訳)
 (仕入)××× (繰越商品)×××
        (未着品)×××
 (繰越商品)××× (仕入)×××
 (未着品)×××

貸方の繰越商品と未着品は前T/B、借方の繰越商品と未着品は期末商品から。


 <参考>
未着品の売上原価を、販売のつど、未着品勘定から仕入勘定の借方へ振替えるのではなく、期末に一括して行う場合もある。
その際は
 (売掛金)××× (未着品売上)×××
の仕訳だけで良い。



 荷為替手形

売主(荷送人)が、商品発送時に受取った貨物代表証券を担保として買主(荷受人)宛の為替手形を振出し、銀行で割引くことにより、賃金の融通を受けることがある。
このことを【荷為替手形を取組む】といい、このときに振出される為替手形を【荷為替手形】という。



 荷為替手形の会計処理

1:売主(荷送人)の会計処理
 (当座預金)××× (売上)×××
 (手形売却損)×××
 (売 掛 金)×××


2:買主(荷受人)の会計処理
 (未着品)××× (支払手形)×××
         (買掛金)×××



 委託販売および受託販売

【委託販売】とは、自己の商品の販売を他の企業(受託者)に委託し、手数料を支払う販売形態をいう。
【受託販売】とは、手数料を受取り、他の企業(委託者)の商品の販売を行うことをいう。



 委託販売の会計処理

1:商品仕入
 (仕入)××× (買掛金)×××


2:商品発送時
 (積送品)××× (仕入)×××
         (現金)×××

販売を委託し、商品を積送したときは売上を計上しないが、手許商品と区別するために原価で仕入勘定から【積送品勘定】(資産)の借方に振替える。


3:積送品の販売時(売上計算書の受取時)
 (積送売掛金)××× (積送品売上)×××
 (積送販売費)×××

売上計算書により総売上高を【積送品売上勘定】(収益)の貸方に記帳するとともに諸掛総額を【積送販売費勘定】(費用)の借方に記帳し、手取額を【積送売掛金勘定】(資産)の借方に記帳する。

 <参考>
売上の計上について、手取額を【積送品売上勘定】に記帳する場合もある。


4:売掛金の回収時(手取額の受取り)
 (現金)××× (積送売掛金)×××


5:決算時(決算整理仕訳)
 (仕入)××× (繰越商品)×××
        (積送品)×××
 (繰越商品)××× (仕入)×××
 (積送品)×××

貸方の繰越商品と積送品は前T/B、借方の繰越商品と積送品は期末商品から。


 <参考>
積送品の売上原価を、販売のつど、積送品勘定から仕入勘定の借方へ振替える場合もある。
 (積送売掛金)××× (積送品売上)×××
 (積送販売費)×××
 (仕   入)××× (積 送 品)×××


 受託販売の会計処理

1:受託品(商品)受取時
 (受託販売)××× (現金)×××

※受託品を仕入れても自店の商品の増加ではないため、仕入勘定には記帳しない。


2:受託品販売時
 (現金)××× (受託販売)×××

※受託品を仕入れても自店の売上の増加ではないため、売上勘定には記帳しない。


3:売上計算書の作成・送付時
 (受託販売)××× (保 管 費)×××
          (雑   費)×××
          (受取手数料)×××

売上高と引取費は、すでに受託販売勘定に記帳されているため、この時点では、すでに支払っている保管費や雑費のうち委託者負担額および販売手数料の受取額を受託販売勘定の借方に記帳する。


4:預り金の送金時
 (受託販売)××× (現金)×××

【受託販売勘定】の貸方残高が委託者に送金すべき金額であり、これを送金することにより委託者との債権債務はすべて清算される。



 荷為替手形を含む委託販売の会計処理

1:委託者側の会計処理
 (積 送 品)××× (仕 入)×××
           (現 金)×××
 (当座 預金)××× (前受金)×××
 (手形売却損)×××

委託販売で荷為替を取組んだ場合には、まず商品の積送に関する仕訳を行う。(上記の上二段の仕訳)
さらに荷為替手形取組額は、委託品が販売される前に代金の一部を受取ったことになるため、前受金勘定の貸方に記帳する。(上記の下二段の仕訳)


2:受託者側の会計処理
 (受託販売)××× (支払手形)×××

荷為替の引受けは、受託品の販売代金の一部を立替えたことになるため、立替金を意味する受託販売勘定の借方に記帳する。

※荷為替を引受け、貨物代表証券を受入れても、自店の未着品の増加ではないため、未着品勘定には記帳しない。
 その未着品勘定の代わりに、貸方三段目(1の仕訳)で前受金勘定を使うことになる。

B編(P.2〜P.22)


 製品との関連における分類

製造原価は、直接材料費と【加工費】に分類する場合がある。

【加工費】…直接材料を加工するために要した労働力などの消費高←労務費や経費



 総合原価計算

総合原価計算は、同じ規格の製品を大量に製造する【大量見込生産形態】に適用される原価計算である。



 総合原価計算の手続

この規格製品は、製造方法も同一であり、個々の製品は同じように加工されるため、製造原価もすべて同額ずつ掛かったとみなして、規格製品の単位原価が求められる。



 単純総合原価計算

単純総合原価計算とは、【単一製品】(1種類のみの製品)を大量に製造する大量見込生産形態に適用される原価計算をいう。



 月末仕掛品原価の計算

月末仕掛品原価は、製造原価を直接材料と加工費に分類し、別々に計算される。

1:直接材料費の按分基準

【月末仕掛品数量】と【完成品数量】で按分する。


2:加工費の按分基準

加工費は、"加工作業の進行に応じて発生"する。
この場合、1単位あたりの仕掛品と完成品に対する加工費が異なるため、【月末仕掛品換算量】と【完成品換算量】で按分する。

【月末仕掛品換算量=月末仕掛品数量×加工進捗度】



 月末仕掛品の評価方法

月末仕掛品原価を計算する際、【当月製造費用】(当月の作業によって発生した製造原価)のほか、【月初仕掛品原価】(前月の作業によって発生した未完成部分の製造原価)を考慮しなければならない。

月末仕掛品の評価方法…【平均法】【先入先出法】【後入先出法】



 平均法による月末仕掛品原価の計算

平均法とは、月初仕掛品原価を当月製造費用であるとみなし、月末仕掛品原価を計算する方法をいう。
したがって、平均法では【月初仕掛品原価と当月製造費用の合計を対象】として月末仕掛品原価を計算する。


    数量 直接材料費 換算量 加工費 合計
 月初
+当月
 合計
−月末
 完成


それぞれの一文字ずつ取って【初・当・計・末・完(しょとけまかん)】で覚える(?)
その他に【ショートケーキ未完成】もアリだとか・・・



 先入先出法による月末仕掛品原価の計算

先入先出法とは、月初仕掛品を先に加工して完成させ、その後、新たに当月投入分を加工したものとみなし、月末仕掛品原価を計算する方法をいう。
したがって、先入先出法では【当月製造費用を対象】として月末仕掛品原価を計算する。


    数量 直接材料費 換算量 加工費 合計
 当月
−月末
 差引
+月初
 完成


それぞれの一文字ずつ取って【当・末・差・初・完(とまさしょかん)】で覚える(?)
自己流では【トマト最初か】でおk



 材料の投入形態

材料の投入形態には、材料を工程の始点で投入する場合のほか、工程を通じて平均的に投入する場合と、工程の終点で投入する場合がある。

1:材料を工程を通じて平均的に投入する場合

加工費と同様に発生すると考え、【月末仕掛品換算量】と【完成品換算量】で按分する。


2:材料を工程の終点で投入する場合…【すべて完成品総合原価を構成】

B編(P.8〜P.23)


 単一仕訳帳制の帳簿組織

【単一仕訳帳制】とは、1つの仕訳帳にすべての取引を発生順に記入し、この仕訳帳から総勘定元帳の各勘定に転記を行う帳簿組織をいう。



 複数仕訳帳制の帳簿組織

【複数仕訳帳制】とは、従来の仕訳帳に加え、【補助記入帳を仕訳帳として利用】し、これらの複数の仕訳帳から総勘定元帳の各勘定に転記する帳簿組織をいう。



 4分法

【複数仕訳帳制】の4分法とは、"普通仕訳帳に加え"【現金出納帳】【売上帳】および【仕入帳】を特殊仕訳帳として利用する方法をいう。



 二重仕訳

【現金による売上】および【現金による仕入】は、2つの仕訳帳に記入される。
1つの取引が2つの仕訳帳に記入される場合、これを【二重仕訳】という。



 6分法

【複数仕訳帳制の6分法】とは、"4分法の仕訳帳に加え"【受取手形記入帳】および【支払手形記入帳】を特殊仕訳帳として利用する方法をいう。



 二重仕訳

6分法を採用する場合、【現金による売上】【現金による仕入】【手形による売上】および【手形による仕入】は、2つの仕訳帳に記入され、【二重仕訳】となる。

A編(P.60〜P.63)


 損益計算書と製造原価報告書

損益計算書に記載される【当期製品製造原価】(当期の完成品原価)の内訳明細を示す製造原価報告書が作成される。

【製造原価報告書】…仕掛品勘定の内訳明細

損益計算書】…製品勘定の内訳明細



 原価差異の会計年度末の処理

原価差異は、会計年度末における賃借差額を、通常、売上原価に加減する。

(売上原価)××× (製造間接費差異)×××

損益計算書に書かれる原価差異は、借り方差異の場合は加算、貸方差異の場合は減算する。

B編(P.40〜P.47)


 伝票制

【伝票】とは、証ひょう書類(領収証、領収証の控え、小切手帳の控え、当座預金の入金票綴りの控え、請求書、納品書、納品書の控えなど)に基づいて仕訳を記入し、総勘定元帳への転記のための資料となる紙片をいう。
すべての取引が記入されるため、取引発生順に綴じ込むことにより仕訳帳にもなる。



 3伝票制

【入金伝票】…借方科目は現金が前提
       当座預金はダメ!
(現金)××× (表示科目)×××


【出金伝票】…貸方科目は現金が前提
       当座預金はダメ!
(表示科目)××× (現金)×××


【振替伝票】…借方科目および貸方科目の前提はない
       現金は出てこない!
       伝票の科目欄は借方、貸方それぞれの科目をそのまま記入する。



 5伝票制

仕入伝票】…仕訳取引はすべて掛取引でなされたものとして記入するのが一般的。
       借方仕入、貸方買掛金が前提
(仕入)××× (買掛金)×××

 掛取引以外の仕入の場合

掛取引ではない場合も、いったん仕入伝票に掛取引として記入し、同時に買掛金を現金または手形で決済したものとして出金伝票または振替伝票に記入する。
例:現金の場合

(仕入)××× (買掛金)×××
(買掛金)××× (現金)×××


また、仕入の減少である値引、返品は、仕入先名および金額を朱記することにより、仕入の増加と区別する。
仕訳は通常通り逆仕訳を行う。



【売上伝票】…売上取引はすべて掛取引でなされたものとして記入するのが一般的。
       借方売掛金、貸方売上が前提

 掛取引以外の仕入の場合

掛取引ではない場合も、いったん仕入伝票に掛取引として記入し、同時に売掛金を現金または手形で決済したものとして入金伝票または振替伝票に記入する。
例:現金の場合

(売掛金)××× (売上)×××
(現金)××× (売掛金)×××


また、売上の減少である値引、返品は、得意先名および金額を朱記することにより、売上の増加と区別する。
仕訳は通常通り逆仕訳を行う。



 仕訳日計表から転記する方法

伝票からの直接転記では手数がかかるため、1日分(または適当な期間)の伝票を分類集計した【仕訳日計表】を作成し、これにより各勘定に【合計額を転記】する方法である。

A編(P.66〜P.82)


 部門別計算

部門別計算とは、費目別計算において把握された材料費、労務費、経費を【発生場所別】(どこで)、【責任区分別】(誰の責任で)に分類集計する手続。

部門別計算が行われる個別原価計算を、【部門別個別原価計算】という。



 製造部門

製造部門とは、製品の製造活動(加工作業)を行う部門をいう。
切削部、組立部、鍛造部、加工部、研磨部、塗装部など


 補助部門

補助部門とは、製造部門の製造尾活動や他の補助部門の活動を補助するための部門をいい、さらに補助経営部門と工場管理部門に分けられる。


補助経営部門…動力部、修繕部など

工場管理部門…材料倉庫部、工場事務部など



 製造部門別の製造間接費予定配賦(第3次集計)

製造部門別の製造間接予定配賦は、製造指図書別の実際操業度に製造部門別の予定配賦率を乗じて製造間接費予定配賦額を計算する。
(仕掛品)××× (切削部費)×××
        (組立部費)×××



 製造間接費実際発生額の部門別集計

第1次集計…製造間接費実際発生額を各製造部門と各補助部門に分類集計する。
(切削部費)××× (製造間接費)×××
(組立部費)×××
(動力部費)×××
(修繕部費)×××

第2次集計…第1次集計で各補助部門に集計された製造間接費(補助部門費)を、一定の方法で各製造部門に配賦する。
(切削部費)××× (動力部費)×××
(組立部費)××× (修繕部費)×××


 製造部門費配賦差異の計算

製造部門別の製造間接日予定配賦額と製造間接費実際発生額(第1次集計費と第2次集計費の合計額)が異なれば、原価差異が発生する。
この原価差異を製造部門費配賦差異といい、次のように仕分けされる。(切削部が貸方差異、組立部が借方差異の場合)
(切削部費)××× (製造部門費配賦差異)×××
(製造部門費配賦差異)××× (組立部費)×××



 第1次集計

第1次集計では、製造間接費実際発生額を各製造部門と各補助部門に分類集計するが、その際、製造間接費を各費目ごとに【部門個別費】と【部門共通費】に区別する。

【部門個別費】…どの部門で発生するかを直接に認識できる費目。

【共通部門費】…どの部門で発生するかを直接に認識できない費目。



 第2次集計

第2次集計では、第1次集計で各補助部門に分類集計された製造間接費(補助部門費)を、一定の方法によって各製造部門へ配賦する。



 補助部門費の配賦方法

【直接配賦法】…直接配賦法とは、補助部門相互間の用役の授受を【計算上はまったく無視】し、補助部門費を【製造部門のみ】へ配賦する方法をいう。

【相互配賦法】…相互配賦法とは、補助部門相互間の用役の授受を【すべて考慮】し、補助部門費を用役提供のある【関係部門すべてに配慮】する方法をいう。



 実際配賦

実際配賦は、各補助部門の実際発生額を実際用役提供量で除して実際配賦率を求め、これを実際用役提供量に乗じて関係部門に配賦する。

【補助部門費実際配賦額=関係部門に対する実際用役提供量×実際配賦率】

実際配賦率=補助部門費実際発生額/実際用役提供量



 予定配賦

予定配賦は、各補助部門にあらかじめ集計された予算額を予定用役提供量で除して予定配賦率を求め、これを実際用役提供量に乗じて関係部門に配賦する。

【補助部門費予定配賦額=関係部門に対する実際用役提供量×予定配賦率】

予定配賦率=補助部門費予算額/予定用役提供量



 製造部門別の製造間接費予定配賦(第3次集計)

各製造部門に集計された製造間接費(製造部門費)は、製造指図書別に配布しなければならない。
この配賦計算は単純個別原価計算の場合と同様に、【予定配賦すべき】である。


 製造部門別の予定配賦率

製造部門別の予定配賦率は、製造部門別に集計された製造間接費予算額(第1次集計費と第2次集計費の合計額)を製造部門別の基準操業度で除して計算される。

【製造部門別の予定配賦率=製造部門別の予算額/基準操業度】



 製造部門別の製造間接費予定配賦額

【製造部門別の製造間接費予定配賦額=製造指図書別の実際操業度×製造部門別の予定配賦率】


 製造部門費配賦差異の計算

【製造部門費配賦差異=製造部門別の予定配賦額−製造部門別の実際発生額】

→予定<実際→借方差異
→予定>実際→貸方差異