A編(P.38〜P.55、P.5)


 経費

経費とは、製品の製造のために発生する材料費および労務費以外の製造原価をいう。



 経費の分類

1:直接経費
直接経費とは、特定の製品に対して直接に認識・計算される経費

外注加工賃…材料を下請業者などに提供して加工させた場合に支払う加工賃

特許権使用料…他人の特許を使用して製品を製造した場合に支払う使用料


2:間接経費
間接経費とは、特定の製品に対して直接に認識・計算されなかった経費

減価償却費、賃借料、保険料、修繕費、電力料、ガス代、水道料、租税公課(固定資産税など)、旅費交通費、通信費、保管料、【棚卸減耗費】(間接材料ではない)、事務用消耗品費、雑費など



 製造間接費の実際発生額

製造間接費とは、特定の製品に対して直接に認識・計算されなかった原価をいい、【間接材料費】【間接労務費】【間接経費】から構成される。



 製造間接費の実際配賦

製造間接費とは、特定の製品に対して直接に認識・計算されなかった製造原価であるため、一定の方法で各製品(各製造指図書)ごとに配賦しなければならない。

【素価基準】…【直接材料費と直接労務費の合計額の割合】



 製造間接費の実際配賦率

【実際配賦率=−原価計算期間の製造間接費実際発生額/−原価計算期間の実際操業度(実際生産量など)】


 製造間接費の実際配賦額

製造指図書別の【実際操業度】に【実際配賦率】を乗じて計算する。

(仕掛品)××× (製造間接費)××× ←【実際配賦額=製造指図書別の実際操業度×実際配賦率】



 製造間接費の予定配賦

配賦率については、実際配賦率にかえて【予定配賦率】を採用する予定配賦を行うべきである。

理由→【計算の迅速化】【製品の単位原価の変動性を排除】


 製造間接費の予定配賦率

製造間接費の予定配賦率は、一定期間の製造間接費予算額を、一定期間の基準操業度で除して求められる。

【予定配賦率=一定期間の製造間接費予算額(予算発生額)/一定期間の基準操業度(予算生産量など)】


 製造間接費の予定配賦額

製造指図書別の実際操業度に予定配賦率を乗じて計算する。

(仕掛品)××× (製造間接費)××× ←【予定配賦額=製造指図書別の実際操業度×予定配賦率】


 製造間接費差異(製造間接費配賦差異)の計算

製造間接費差異の予定配賦額と実際配賦額が異なれば原価差異が発生する。
この原価差異を【製造間接費差異】といい、借方差異または貸方差異を明示しなければならない。
なお、製造間接費差異は毎月末に【翌月へ繰越される】

【製造間接費差異=製造間接費差異予定配賦額−製造間接費実際発生額】



 製造間接費予算

通常は【公式法変動予算】を採用する。

1:公式法変動予算

公式法変動予算とは、製造間接費を【固定費】と【変動費】に分け、固定費は操業度の増減に対して一定とし、変動費は操業度の増減に応じて変動比率をあらかじめ測定し、一定の公式を用いて予算を算定する方法をいう。


2:基準操業度の選択

 実際的生産能力←【フル操業・フル生産】

実際的能力とは、実現可能な年間の最大操業水準をいう。


 期待実際操業度

期待実際操業度とは、次の1年間に予想される操業水準をいう。



 製造間接費差異の原因別分析

製造間接費の予定配賦額と実際発生額を比較して把握された製造間接費差異は、さらに【予算差異】と【操業度差異】に分析される。

【製造間接費差異=予算差異+操業度差異】


予算差異…製造間接費の【発生額の良否】を測定するための差異

操業度差異…【生産設備の利用状況の良否】を測定するための差異


【予算差異=※実際操業度の予算額−製造間接費実際発生額】

※実際操業度×変動率+固定費予算額

【操業度差異=(実際操業度−基準操業度)×※固定費率】

※固定費予算額/基準操業度



 単純個別原価計算

単純個別原価計算とは、原価計算の簡略化のため、正式の原価計算手続である費目別計算、部門別計算、製品別計算のうち、部門別計算の計算段階を省略した個別原価計算をいう。

個別原価計算における製造原価は、製造直接費および製造間接費に分類し、製造直接費は賦課、製造間接費は配賦され、製造指図書別に集計される。



 操業度との関連における分類

変動費】…操業度の増減に応じて【比例的に】発生する原価要素

【固定費】…操業度の増減にかかわらず、【一定額発生】する原価要素

変動費…ケータイの料金のようなもの(基本料+使用料)

準固定費…電車やバスの運賃のようなもの(段階的に料金が上がる)